弟子のSです

武術の稽古日誌

武術ゆく年くる年 〜日々是推手〜

今年もまたたく間に師走である。ここのところとりわけ時間の経つのが速く感じられるのは、週3回のパートの仕事のせいだと思われる。午後3時からご近所の高齢者に夕食のお弁当を届けているのだ。安否確認を兼ねて、車で地域のお宅を訪問する。お弁当は一汁三…

武術ゆく年くる年〜女踊りと韓国舞踊〜

稽古に継続して通われている方ならお気づきと思うが、ここ数年、白桃会の稽古は「踊り」が大きな比重を占めるようになっている。2年ほど前に「ひょっとこ踊り」「おかめ踊り」を師が研究され披露なさったあたりから、発展して「男踊り」「女踊り」の稽古が増…

鶏むね肉問題[実践編]

前回の記事を研究編とすると、今回は実践編だ。「研究者」としての考察をふまえて、次は「実践者」としてもう一歩踏み込んでくださいと師に言われたのである。 ネットの適職診断などで、私は「研究者」向きだといわれることがある。確かに、ネタを集めてはあ…

鶏むね肉問題

課題「鶏むね肉レシピをYoutubeで観て、何が問題とされ、その問題解決にどんな考え方があるのかを武術の流派性と関連づけて論じよ」 長く主婦をやっているが、やりくり上手はむね肉を買うと頭では知りつつ、鶏肉といえばもも肉や手羽ばかり求めてきた。もも…

即興で踊れる人、踊れない人

「踊れる人と踊れない人の違いは何か(特に即興において)」。 師から出されたこの問いについて、今日は考えてみる。この問いにおける私の立ち位置とは、言うまでもなく「即興で踊れない人」である。本稿は踊れない私が踊れるようになるための考察である。 …

ビバ、ぷよ碁

師匠に教わった無料ブラウザゲーム「ぷよ碁」で遊ぶのが習慣になった。本来の19路盤とちがって5路盤と7路盤しかないので、鍋でお湯を沸かしている間に一局打てるのがいい。 ぷよ碁のすばらしい特徴、それは ・碁石に表情がある!盤面で戦いが起きると、優勢…

へなちょこ亭日乗

昼過ぎ、三十七式太極拳クラブの稽古場所である、小金井市婦人会館の抽選に行く。定刻に抽選会場に集まった団体の中でくじ引きをし、番号の若い順から場所取りをしていくので、早く到着してもくじ運が悪ければ長く待たされることになる。(とは言っても古い…

武術日和下駄

『日和下駄』は永井荷風の随筆集のタイトルである。Kindleで無料だったので何の気なしに読んだところ、その端正な文体にすっかり魅了されてしまった。長いこと「浅草に通い詰めた色好みのおじさん」ぐらいの認識でしかなかったのが、今ではその人が「風景の…

年末所感、2021年

稽古場確保の必要から立ち上げた「小金井三十七式太極拳クラブ」の参加者が少しずつ増え、先日、にぎにぎしく稽古納めをすることができた。稽古相手になっていただいた皆様、今年一年ありがとうございました。 活動の告知にTwitterを利用しているが、連絡と…

攬雀尾「砂浴び」説

準備姿勢から第一式「起勢」で三十七式の動作が始まると、その直後に続くのが第二式「攬雀尾(らんじゃくび)」だ。太極拳の動きの基本、ポン(かわす)、リー(受け流す)、ジー(圧する)、アン(押す)の四要素が含まれる、たいへん重要とされる型である。…

武術ゆく年くる年 8年後のひざ

訪れる人もまれなこのブログのアクセス数が唯一(比較的)伸びた時期、それは私がひざの靭帯を傷めた時のこと。2012年11月の稽古中に受傷し、その後MRIで前十字靭帯断裂と診断され、筋力をつけるためのリハビリと並行して、再建手術を受けるかどうかで迷いに…

母の贈り物

太極拳をしていれば、呼吸がゆったりと整う套路の動きが癖になっている人も多いだろう。私も家でよくやるようで、娘がスマホで撮った日常風景の端っこに、私が写り込んで樓膝拗歩してたりする。 先日のことだが、茶の間の介護用ベッドに横になった母が、私の…

丁寧に負ける

感染防止に配慮しながら週1回のペースで稽古を続けている。先日は雨天だったので、体育館内の道場で久しぶりに投げ技ありの組手をした。私がうまく受け身を取れなくなっていることに、師が驚き嘆いておられた。自覚するのは、以前にも増してスタミナがなく…

稽古メモ〜重心を外に出す〜

小金井の太極拳教室は5月22日から屋外(小金井公園)で稽古が再開されている。元の講習場所である市民体育館もビジター利用は再開されたため、晴雨にかかわらず稽古ができるようになった。再度、再々度の感染拡大が起きないことを祈るばかりだ。 稽古日誌も…

母の介護

今回は考え事を兼ねて、家庭内のことについて書こうと思う。 新型コロナウイルスの蔓延により「ステイホーム」が叫ばれて久しいが、実はコロナ前から私は「ステイホーム」していた。目下、82歳の実母を在宅介護中だからだ。母は要介護4。昨年まで要介護1だ…

遠隔稽古

太極拳教室の再開がいつになるのかの見通しも立たぬまま、家で套路(とっても気持ちいい)と、オンラインレッスンの課題にとりくむ日々。実地の稽古であればタッチやニュアンスといったものから学ぶことができ、間違いもその場で指摘され直してもらえるのに…

コロナ禍の真っ只中で考える

コロナウイルスの蔓延で世界的に「ステイホーム 」が叫ばれるなか、私も先月の25日を最後に稽古への参加を控えている。今まで年末年始に半月ほど稽古がなかったことはあるが、今回はそれをしのぐ、私史上初の長期休みになりそうだ。ホットスポット東京に住ん…

稽古ノートから

中華剣の対人の型稽古では苦戦されている方も多いかと存じます。参考になればと乱筆の恥を忍んでノートの図解をアップします。(最後でふりだしに戻り、ループする。)半身になり両方の前腕を上げる最初の構えを「ひ」と表現しています。そのほか解読しづら…

武術ゆく年くる年

今年も早や大晦日となりました。毎年暮れになるとその年の総まとめ的な記事を書くのですが、今回は「俳句」に特化して書いてみようと思います。 直近の句会は去る11月19日に目黒区駒場で行われ、日本民藝館で古い壺を鑑賞したり、東大駒場キャンパスでのラン…

演武とは何か

去年あたりから稽古に「演武」という種目(?)が加わったが、できたりできなかったりして安定しない。(全くできない、と書きたいところだが、褒められたことも数回あるため、正確を期すとこうした書き方になる。) 記憶するかぎり、たとえば型稽古中に「そ…

今夏の覚え書き

あれよあれよという間に夏が過ぎていった。この夏の特記事項。 ・前回の記事で自分のひざの怪我について書いてまもなく、師が稽古中に右ひざを負傷された。靭帯損傷ということで、2か月経とうという今でも少し足を引きずっておられる。怪我された翌週か翌々…

サードウェーブきました

2009年に太極拳を、数年後に武術を習い始め、2012年の稽古中にひざに大きな怪我をした。前十字靭帯を切ってしまったのだ。歩いていてもがくっとひざが抜けて転んでしまうような状態で、当時は師を灯台に暗中模索するような毎日だったから、私は松葉杖でおろ…

感じを習う

このところ護身術教室の生徒の間で杖がブームで、遅ればせながら私もマイ杖を購入して親しんでいる。握り締めず、構造で支えて、手の中で滑るように持ち、受け流す。杖は「捨己従人」の奥義を知るためのよい稽古になると思う。「捨てる」とは? 捨てる主体で…

近況

このところ私の生活配分は、週1〜2回の武術の稽古のほか・隔週の囲碁教室・要支援の母の生活介助・小鳥(めっちゃエモーショナルなコザクラインコ)の世話 こんなあんばいで、道場通いに座学に遊行に、つまり稽古に明け暮れていた頃とはだいぶ事情が変わっ…

カポエイラ

義父が急逝し、新年から喪中の人となっております。訃報が入るまで集中していたことを、落ち着いた時のために書き留めておこう。 師がいままで折に触れて紹介されていたカポエイラに遅まきながら興味を覚え、あれこれと勉強を始めたところだった。 カポエイ…

武術ゆく年くる年

今年もあれやこれやと課題を残しつつ暮れていこうとしているが、年内最後の稽古で面白いことを教わったので図説する。それは突きへの対応に関することだ。 ①まず、突きを手の甲で受ける。これは普通に痛いし、相手の力によっては手を破壊されてしまうかもし…

快食、快食、快食

私は実用書などにイラストやカットを描いているのだが、長く描かせていただいているジャンルの一つに「訪問歯科診療」というのがある。高齢や障害等で通院が困難な人のための、歯科の往診サービスのことである。 先日、クライアントの会社に招かれて初めて学…

遊行

師から紹介された映画「ミスト」観る。陰惨なまでに救いの無い話であるにもかかわらず、どういう種類の心の動かされ方をしたのか、見終わって目から水が一杯出た。人間性の深淵に迫るすごい作品だ。映画はハッピーエンドでなきゃと長く決めてたけど、こうい…

「武」ってなんだろう

諸説あるようだが、「武」という漢字は「戈(ほこ)+止(足)」で、戈を持って進む人を表しているという。戈というのは画像検索すると長い柄のついた刃物であり、それを持つ人が何をしようとしているかと言えば、ビジュアル的に十中八九、戦おうとしている…

近況

このところ同居の実母の日常生活にやや介助が必要になり、介護保険を申請したり居室を整えたり、しかるべき知識を仕入れたりしかるべき人に相談したりとせわしくしている。人を相手のことなので精一杯楽しくやっていきたいし、それができなきゃ今までの稽古…