弟子のSです

武術の稽古日誌

人それぞれの

家に、仕事で知りあった独身で同い年のお客が来る。会社の健診でD判定がついたの、長年の婚活にも実りがないのと沈んだ様子。

私「Tさんは自立して立派にやってるじゃありませんか」

T「稼いで、食べて、出すだけの自己完結した自分って何なんだろうと思うんです」

私「でも貯蓄はあるんでしょう。お金の制約がないっていいことですよ」

T「制約がないのが制約というか・・。それは何ですか」

私「木刀です」

袈裟切り、膝行などして見せる。気晴らしになりました、と言って帰っていかれた。

境遇は違っても皆それぞれの迷いのループの中にいて、Tさんも、私も、自分のことは自分からは見えない。「水の中に居て渇を叫ぶ」という禅の言葉を思う。