弟子のSです

武術の稽古日誌

一人反省会

11月19日の稽古中に左ひざを捻って痛めて、時々鍼など打ちながら、びっこを引いて暮らしていたがなかなか腫れが引かず、受傷後18日目に行った整形外科で「半月板損傷」と診断され、水を抜く処置を受けた。受傷後すぐから結構あちこち出歩いてしまい、大事にしなかったぶん治るのが遅れることになりそうだ。

ケガをして私のような間抜けな対処をする人もあまりいないと思うが、どこが間抜けなのか、参考になればと思うので書いておくことにする。

まず、巷でよく言われる「整形外科に行っても治らない」と、「整形外科に行く必要はない」を混同してしまっていたこと。鍼灸整骨院に行く前に、整形外科で診てもらうべきだった。整骨院は基本、患者の症状の訴えに従って施術していくので、こちらに自分のケガについての情報や語彙がないと、高いお金を払って的外れな施術を受けることにもなりかねない。今回「半月板損傷」「受傷時の破裂音」「ひざ崩れ」などの語彙を獲得してからは、私も的確に説明できるようになったし、整骨院でも施術の方針がはっきりしてお互いのためになったと思う。

それから、これは根本的なことだが、歩けるから、曲げられるからと「何も起きていない」と思うことで自分を安心させていた。ネットを見ても「〜か月で治る」など自分にとって都合のいい情報ばかりピックアップしていた。ふとした拍子にひざ崩れを起こし、腫れているにもかかわらず、外出してはたくさん歩けるじゃないか、全然平気じゃないかと嬉しかった。ケガと正面から向き合うのが怖かったし、それで自分の生活が変わってしまうこと、稽古ができなくなることが怖かった。思えば原発事故の際もそんなふうに不安をなだめていた気がする。

こうして書いてみると、理解も分析も攻略もしてなくて、つくづく武術的じゃないなあ。

しかし私学習しました。ケガをしたらまず整形外科に行く。すみやかにケガ人になりきる。

整形外科はなにしろやたらと混んでいるので、お医者さんはこちらの顔もろくに見ず器質的な異常をチェックし、小鳥のように怯える患者(私)にごく事務的に、半月板損傷についての一般的な説明をする。「今後のことはわかりません。確実な治療法は手術だけです」。

整骨院は超音波以外の器械で精査することはしないが、すばらしい手技を持ち、親身になってくれる。「ケガした時ってすごく不安になります。損傷といってもごくわずかなはず。よくなるからとにかく固定して!」。

本当に治ろうとしないとケガは治らないと師のコメントにあったが、「半月板損傷」と見立てられたことでケガの全容がはっきりし、ケガ人として生きていく覚悟が決まった。今は素直に師の忠告に従い、慣れないナンコツや手羽など食べている。うっぷ。