「虚」と「実」
太極拳でよく聞く「上虚下実」。両足は根を張ったように動かず、上体は柔らかく動いて相手の力を受け流す。このように「虚」はリラックスした動のイメージ、「実」はどっしりとふんばる不動のイメージを指す言葉です。
例えば「上実下虚」のコンビネーションを持つものには剣術があります。
「とびても廻りても、身なりろくに、いかほどにもしづかに、きつかりとして、しもはゆるぐとも、かみのうごかざるやうに、そらよりなわにてつりさげたるものと心にあるべき也」(宮本武蔵『兵道鏡』)
上体は堅牢(実)でありながら、両足は柔らかく自在に動く(虚)。
上体と両足のこのコンビネーションを、様々な武術にあてはめるとこうなります。
師がなぜこのことを教えてくれたかというと、太極拳は「下実」ですが、足への攻撃をかわしたり、さばいたりするのには「虚」の動きが有効だからだと思います。足をふんばったためにケガをした私は、これから「しもをゆるぐ」ことを覚えてひざを守っていきたいです。