弟子のSです

武術の稽古日誌

今日の読書

本質を見て、本質を理解し、本質を語ること。

『弱くても勝てます』高橋秀実。超進学校として知られる開成高等学校硬式野球部のルポ。雑誌連載時のタイトルは『弱者の兵法』。部の練習は週にたったの1回・3時間で、私が師につけてもらう稽古量とほぼ同じ。選手は頭で考えてから動くタイプでお世辞にも要領がいいとは言えず、(偏差値はさておき)他人事と思えないのだった。

監督いわく「圧倒的に戦力が劣るチームが強豪校と戦うには、一般的なセオリーでは通用しない。ドサクサに紛れて大量得点。相手がびっくりするような異常なことをやる」。「うちは十分に繰り返す時間もないし、体得も待っていられない。必要十分な練習を徹底的に追及する。グラウンドは練習でなく「実験の場」。あらかじめ各自が仮説を立てて、それぞれが検証する」。

打撃力のないある選手は「僕にとって四球は二塁打と同じなんです」という。彼は走塁のセンスが良く、出塁すれば必ず二盗できるからだ。二塁打の本質が「二塁に進む」ことであることを考えれば、これで必要十分なのだ。

面白かった・・。本質にこだわる開成は「甲子園出場」より「強豪校を撃破する」ことを目指す。で、甲子園へのモチベーションがいまいち、というかかなり低く、そこがまたいい。

夜、ものすごく久しぶりに合気会に顔を出した。立ち稽古だけでも、と道着を持っていったがかなわなかった。「80歳を過ぎて段位を取った人もいます。(昇級は)焦ることはないので、今日は見学なさって」。世界の中心で叫びたい、私は段級には興味がないんです。私はただ、一教から五教と、四方投げ入身投げが「何なのか」理解する手がかりが欲しいだけなのだ。