弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

護身術+太極拳

護身術は手を十字の形にして押す稽古。塔手から右手で(左手の攻められる)突破口を探すのでなく、もうそのまま右手に左手を添えて押しちゃいましょう、というかたち(下図)。押す力も両手分となる。套路でいえば攬雀尾のジー(擠)の押し方だ。鄭曼青老師の著書の英訳によると、アン(按)がpushであるのに対しジーはpressである。圧する、という感じ。

jii.jpg

●を押してやります

塔手から十字で相手の腕をはじきざま突く/十字で頭部・胸部・鼠径部を押す/腕を抱え込んでいる相手を十字で突き放す。

十字vs十字で、押すときの感覚(感触・タッチ)をつかむ稽古。ぶつかった状態で接点の右手首から相手の力の入り具合を聴き、ぶつからないところを感じたら左手を添えて相手の領分へそっと曲線的に乗り上げていく、そして圧する。力と力の真っ向勝負にしないこと。

ナイフを突きつけてくる腕を下へ落とす(または挙げる)稽古もした。相手の腕にとまった蝶を潰さない、そんなつもりで繊細に扱う。力を相手に気づかせない。師のお手本を見ていると「馴致(飼いならす・次第にある状態になるようにする)」という言葉を思い出した。猛ったライオンが静かになりました、みたいな。共鳴させるという点で指揮者のすることに近いと思う。

最後に同様のタッチで肩から崩して投げる稽古。上半身の仕事と同時に、内側から足を入れ(鎖歩)つま先支点で相手の足を広げて不安定にしてやる。

太極拳は第二十九式の攬雀尾まで。二十八式の玉女穿梭を繰り返す。

今日は套路を書道でいう「楷書」「行書」「草書」それぞれのイメージでやった。楷書は型のそれぞれを分離して直線的に、行書で曲線的なつながりを持たせ、草書ではノリやグルーブ感を全開で。といった感じ。

お話の時間には、日々同じ套路をすることの意義、太極拳を通して自分の体調を知る・・といったお話をきく。掌をかざして身体をスキャンする、両腕を提手のかたちにして気の流れ・滞りを調べるなどした。大切なものは目に見えないとサン=テグジュペリ相田みつをも言っている。