弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

護身術+太極拳。おそらく前回の稽古のことから、師に今日ビシッと申し渡されたこと:

「研究する態度で臨まなければ稽古がまた貪りになります。次の稽古は水曜日。当日の10分間を使って、Sさんが研究して得た成果や課題を発表してください」。

どんよりすることはない。いや、どんよりするとかしないとか、感情はどうでもいい。やる。

護身術では構え・歩法で正しい姿勢をつくってキープする稽古。

・右ポンの姿勢をつくって対人稽古。押し合う。崩されてしまったら崩れた箇所を確認する。ひじか?肩か?股関節か?

・両手で押し合う。やさしく重みをかけて相手の拳を下げる。または人差し指の張りを使って相手の拳を上げる。どちらも相手に押させ、腕を張らせて、自分の力と釣り合ったところで(ぶつかり合いが相殺されたところで)かける。

・向かい合った方向から歩み寄り、ぶつかったところで押し合う。股関節より上を前傾させない、足で床を蹴らない。つま先を浮かせ気味に、かかとが離れないように歩く、いわゆる「摺り足」で、なおかつ太極拳の要領、つまり新しく前に出る足に重心を乗せない「探り足」で・・うーん、どうしても前のめりの力比べになってしまうなあ。

煮詰まった時には師の一言が効く。「相手を重い荷物だと思って、それを運ぶんです」なるほどっ!重心を後ろ足に残し、上方へ圧をかけつつ歩くニュアンスがその言葉で理解できた。それでいくらかうまくいくようになった。

太極拳では呼吸法、套路から起勢/左ポン/攬雀尾のリーとジー/按を個別に稽古。

攬雀尾でするジーの用法は、両腕を前に出して輪っかをつくり、相手と接する右手に左手を添えて十字の形で押すのだが、ここでも師が面白いたとえを始められた。「オオカミは片手の先を白く塗って山羊と思わせました・・」。突然のグリム童話に一同ポカンとするが続けて「相手と接する右手はやさしい山羊の手、後方からオオカミの手で押すんです」。すばらしい。すばらしいよ。

護身術でやった「相手に腕を張らせた状態で自分の力と釣り合いをとる」も、「山羊が押しているようなやさしいタッチ」も、抵抗を中和する、相手との間に無風地帯をつくるためのものなんだ。オオカミの意図を背後に、接触点はやわらかく。相手の力をそれで無効化する。

♪なぁなぁあんたさ伺いますけど/かえるを茹でたことはあるかい/アンダンテくらいでアルデンテすれば/気づかず茹だるのさ/これで誰でも騙せるさ

クリープハイプを口ずさみながら帰った。

水曜日の発表、何にしようかな・・・