弟子のSです

武術の稽古日誌

昨日のお稽古

護身術+太極拳

対向した相手が自分を引こうとする、押そうとする、それに逆らわずに力の方向へ体を流す稽古。そこから投げにつなげる。太極拳の基本のき「捨己従人」の起こりがわかって面白かった。いきなり引っぱられると人は自然に足を一歩前に出してストッパーにする。その一歩を踏ん張るためでなく、相手にシャドーしてこちらから出すことで、相手に逆らわずに力を利用することができる。

それから腕を弧にして柔らかく張りのある状態をつくり、肩甲骨を使って肩全体・体全体で動かすという羽ばたきの要領を教わる。これも太極拳の力の出し方の基本である「ポン(掤)」につながる。手をつないで輪になり、ウェーブを伝えたりしてうねりの感覚を味わった。

慣れたところで両手で輪っかをつくり、攻撃をかわし→反撃という動作をうねりの中で一動作でやるという、前の晩の稽古を再び。

太極拳套路の第一段、十二式の十字手まで。白鶴亮翅、楼膝拗歩、進歩搬攔捶を個別に練習した。

新しく入ってきた人が、まだ講座の2回目なのに「要は・・」「結局・・」「これって・・」と受け取ったパーツを一生懸命頭の中で関連・体系づけて組み立てようとしているのが微笑ましい。こうやって頭でっかちなのがいけないのよね、と言っていたが、体で知識を吸収して成長できる子供と違い、あらゆる意味で持ち時間の少ない私たちは思索で補ってやらなければとても追いつかないと思う。考えることが大人の強みでもあり足枷でもある。

思索から解き放たれた先に「非思量」という世界があるらしい、それはたぶん、ピカソが90歳で「やっと子供のような絵が描けるようになった」と言ったようなもので、ただ何も考えてないのとは違うはず。うーんうーんとお勉強はつづく。