弟子のSです

武術の稽古日誌

武術は護身術

・・だとつくづく思う昨今。

生活上の諸問題について、つらさの原因から遠ざかるという対処もときには有効だが、全てについてそれをやっていては行動が狭められて不自由になるばかりだから、行動が制限されないように護身を学ぶのだ。師によると、つらさの解消は根性に頼るのでなく身体に働きかけること(つまり稽古)で可能だという。それはたとえば、アレルギー患者に施す脱感作療法のように、抗原を少量から繰り返し注射して身体を慣らすといった、テクニカルな手法で乗り越えられるんだって。

つらさを感じた時には○○をして解消する、というきまりをつくるといいと言われた。「消去行動」という用語があるかどうか知らないが、お酒を呑む、歌う、運動する・・・。人によっては印やマントラが有効なこともあるかもしれない。

あとは許されるかぎりにおいて率直でいること、だろうか。次のようなことがあった。

月曜日、稽古後にしたたかワインを飲んだ師は、お店を出てから駅へ向かっていると「(酔っぱらっているので)もっとゆっくり歩いてください」と仰った。そして私に「Sさんもこういうふうに言えばいいんですよ」と。それはリクエストであり、どうして欲しいかが相手に通じる言い方。いっぽう、人に合わせるように頑張って頑張りきれず、ついに「つらくてそんなに速く歩けません」と言うのが私のとりがちな態度であるそうだ。それだと相手は何を求められているかわからず「この人はつらいのか」としか思わない、思えないという。うーん。

私の場合、師に対しては「私情がらみの要望を述べ伝えるのは誤り」という機制が働くから、それはなかなか言えない。しかし至難の技であっても、突然つらいと訴え出すよりはまし・・ということかな。リクエストを受け付けるか否かは師におまかせするとして、「もっとゆっくり歩いてください」と鳩のように素直に言えたら楽になるのだろう。少なくとも欺瞞はない。

※負の感情とか煩悩関係の記事は書いていてしんどいのでそろそろ区切りをつけたいのと、ここを記録しないで何の記録か、という気持ちとの間で揺れ動いています。