マダム・フォスター「一番大切なことは何?・・勝利!
なんとしても勝つ! 一つ残らず、どの相手にも勝つ!」
ストレッチポールの上に長いこと、木場の丸太乗りのように立っていられるようになったよ。それはストレッチポールを征服したというよりは、ストレッチポールと和解した、緊張関係がなくなった感じ。具体的には、緊張しないので鼠径部がゆるみ、サスペンションがきくようになった。
稽古で得たいくつかの小さな達成経験から類推するに、あるものに勝つというのは、勝つための工夫を惜しまずにいながら、勝つことが第一義でなくなることではないかしら。勝ってはしゃいでも、負けて泣いても、そのことで自己の根幹が特に揺らがない。だから安心して負けられる。
すべての出来事についてそう思えたら、さぞかし自由で豊かで心静かな後半生だろうな。