弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

武術90分。中野にて。

今日は時間をかけて単推手を教えていただいた。といっても単推手は太極拳の上達にともない自然にうまくなるもので、単推手だけが上達することはあり得ないし、それだけを取り出して稽古するのはあまり意味がないと師は仰っていたが。

単推手の稽古の概要は、三十七式太極拳の始祖・鄭曼青によれば次のようなものだ。

様々に動きながら、向かい合う二人は常に手を軽く触れ合っている。それぞれは、相手の次なる動きをそれがなされる前に「感知」する手の感触だけを頼りにする。相手が少しでも押すのを感じたらそれに従って下がり、少しでも引くのを感じたら付けていく。

(Cheng Man-ch'ing 'T'AI CHI CH'UAN' ・拙訳)

今日の稽古も「感知」すること、そして感知した力の流れに逆らわないこと・あるいは力の流れを誘導することが主眼だった。やはり手でつくる円環の手前の弧(=自分の領域で受け流して返す流れ)をどう自然に描けるかが今後ずーっと続く課題になると思う。力むと相手との間に緊張状態が生まれ、たちまち弧が崩れてカクカクぶつかりあってしまう。

始めは立ち位置を固定して、途中からは自由に動きながら行った。1、2、1、2のリズムで二人で円を描き、崩せる時に崩す。流されながら流れを味方につける、うまいこと流される・・そういう感じ。対峙した人や状況とどれだけダンスができるか。そのへんが、繰り返しになりますが、人生だなと。

それから、腕をひねる動作を体幹を動かすスイッチのように使い、打撃から体をよける稽古。その後、内旋した腕が胴から離れていくのを応用して抜刀の稽古。

稽古後、いつものように師と瀬尾さんのセキララトークを拝聴し、中村うさぎの「男はパーツに萌え、女は関係性に萌える」は至言であるなあという思いを強くして帰った。でも(でも、ってことはないか)瀬尾さんの書評や映画評は明解でいつも参考にさせてもらっています。