弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

漫画『看護助手のナナちゃん』を読んで心が洗われた・・雑味がないっていいなあ。

護身術+太極拳

護身術は「なじみをつくる」がテーマだったと思う。戦い方というものを「相手に反発する」と「相手になじむ」に大別するならば師の武術は後者である。力でぶつかること、相手の反発を招くことを極力排除する・・。それでどうやって人を倒すかというと、接触点から相手の真芯(重心の崩れるポイント)を探りあて、そこに柔らかく圧をかけていく(聴勁)。そのために相手に「なじむ」ということをする。つまり受容、一体化、捨己従人だ。

・対向する相手に抱えられ、上に持ち上げられるのを阻止する。硬く直立不動でいるのと、柔らかく相手にもたれるのだと、後者の方が圧倒的に持ち上げられにくい。柔であり軟なものは扱いにくい、という確認。

・後ろから抱えられた腕を抜ける。

ガードポジションの足を外す。

・押し相撲(というか圧し相撲)。肩周辺になじみをつくる。

・斜飛勢の要領で裏から崩す。脇になじみをつくる。

・対向した相手の両腕から相手を引き込む。

・対向して歩み寄り、ぶつかるところで擠(ジー・輪にした両腕で圧する)。

ジーの弾力ではね返す感じがうまくいかず(どれもうまくいかないんだけど)瀬尾さんに何度も相手をしてもらう。IターンでなくUターンだ、マリオのポヨ〜ンて感じだ、接する方の手はプチプチシートだ、等々のアドバイスを師と瀬尾さんの両者よりいただく。

太極拳は「雑にやらない緻密にやる」がテーマだったと思う。書画の世界で筆で直線を引くように、太極拳も身体の自然な動きに委せることで定規やコンパスのように精確な図形を描ける仕組みがある。それを稽古した。

・起勢から横方向へのターン(直角に方向転換する)

・倒輦猴(直線を描きながら後退する)

・単鞭から肘底看捶/転身擺蓮(片足を軸に円を描く)

・斜飛勢(片手の内旋をレバー代わりにして片手を外旋させ、∞のかたちに)

・金鶏独立(背筋を伸ばしたまま足を真上に挙げる)

それから歩法。軸足を固定して、自由な方の足で探りを入れる歩き方。軸足が、地面に穿った杭のように揺るぎないものであることがとても大事。前提。

つづく幼児空手にも出させてもらう。

空手の挨拶の押忍の姿勢でアッパーを受ける。そこから太極拳の白鶴両翅の用法に。

手ほどきで、両手でつかまれた片手首を斜飛勢の要領で横方向に外す/搬攔捶の要領で縦方向に外す。

ミットを使った回し蹴りの稽古を脇から見学していて、師のお手本の蹴りに(意外と見る機会がないので)度肝を抜かれた。弾丸である。こんな破壊のポテンシャルを秘めた人が木造アパートの四畳半に静かに起居していることに何やら不思議な感慨が湧いた。