弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

護身術+太極拳+幼児空手+子供空手。

さまざまなケースを予想、想定しようとするから「想定外」という事態が起きるので、予測というものをせず、ただただ受けた刺激に対応する、受身をとる、という稽古をする。どこから打たれてもごろんと布団に倒れ込むように柔らかく受け、力の流れに逆らわずに相手に返す。

足払いの稽古。払う方向にあらかじめ深く1歩踏み出し、引き寄せるように相手の足を払う。標的の足に重心が乗っていると払いにくいので、肩を持ち上げて軽くするなどの工夫。

対向して内側から足をひっかけて倒す・ふくらはぎを合わせ、ひざ裏を撥ねて倒す/同方向を向いて相手の前に入り、ふくらはぎでひざを正面から撥ねて投げる(危険)/腿への横蹴りを足で引っかけて受け、脇へ流しつつ上体を突いて倒す/横並びになり後方内側から足を引っかけ、横に開かせて胸元を押して倒す/歩行中の、着地寸前の足を横に払う(出足払い)/対向して片足に足を引っかけ、ふくらはぎに向かって落として崩す。

太極拳は攻撃と防禦がはっきり分かれていず、受けていると思ったら攻められていた、押していると思ったら引いていた、打っていると思ったら打たされていた・・・みたいな「だまし絵のような釈然としない感じ」が持ち味だが、それを稽古する。

単鞭に移行する途中の、相手の手を誘って釣り込むところ/倒輦猴の左右の手の入れ替え/四正推手での、押されている前腕部の入れ替えなど。

久しぶりに幼児空手と子供空手に参加させてもらった。

幼児空手は体験の子やらその弟妹やらで予想外の賑わいを見せていた。私はおもに走り回る子にお声かけして稽古に戻るよう促す役目。数か月早く稽古を始めた子でも先輩らしく「ちゃんとやらなきゃダメでしょ!」とか叱っているのがおかしい。

子供空手では技をいくつか教わる。中段突きを払ってひざ裏を蹴ってひざまづかせ、同じ足で顔を蹴り頭を取る、など。師が私を相手にデモして見せると「うわあ」「残酷」と声が上がる。うん、まっとうな市民感覚が育っているな。

普段はTシャツだが今日は道着で稽古に臨んだ。木村塾の帯色のグレードはよく知らないけど、合気道を稽古する際に購入した私の道着の帯は生成り色。子供たちに「白以前」と認定されたようで、「ふーん」という空気が微妙というかやや痛い。

教えられない私はもっぱら、集中力の途切れた子をつかまえては「稽古相手になって」と言う。不思議なことだが、やる気がなさそうに見えても言われて断る子はまずいない。一人の子は「なんでそんなに真面目なの?」と複数回訊いてきた。「だって、やらなきゃ強くなれないよ」。師も、生徒同様に私にも教えてくれる。ありがたいことである。

稽古後に師から「自分を捨てることと自分を殺すことの違い」「廃刀令によって失われたもの」などのお話を伺う。武術の話題はいっけん刃物のように取扱危険だが、知るほどに人間が複眼的になるように思う。高度知的生命体に生まれた醍醐味を感じる。