弟子のSです

武術の稽古日誌

回って回って回って回る

男子フィギュアの世界では今や4回転ジャンプを跳ぶのは当たり前になった。このことについて羽生結弦くんが昨夜テレビでインタビューに答えていた。たとえばテニスの進化には(注・聞き手は松岡修造)ラケットやコートの改良も大きく影響してるけど、スケートは選手以外に進化する要素があまりないと思う。人間の身体能力がそれほど劇的に向上するとはどういうことなのか?何が4回転ジャンプを「できて当たり前」のことにしたのか? 羽生「4回転を跳べる人がいる、ってことですかね。それが後に続く人を作った」。できないという思い込みを捨てさせた先駆者パトリック・チャンの功績が大きいと言う。以前コメント欄でRさんに教わった「メンタルブロック」、4回転に対するそれを彼がなくしたということだろう。「皆がやろうと思えば5回転もできると思います」! 自分の歩む道の先に、自分のできないことをする人がいる。それを「あの人は特別。自分とは違う」と捉えるか、「だから自分にもできるはずだ」と捉えるかが進化を左右する。できないという縛りを外すのはある意味ストレスフルなことである。後者の捉え方では、現在の自分は常に「(できるはずのことが)できない自分」だからだ。努力自体が楽しい、面白い、と思えなければ到底続かない。羽生くんのこけしのように柔和な笑顔からは、可能性に向かう喜びしか伝わってこなくて、できない自分の価値が云々とか、私ってホントくだらないなあと思った。