弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

護身術+太極拳

今日の護身術のテーマは「考えない」。

相手と向かい合って立ち、拳を下に引かれたらころんと転ぶ。先読みも抵抗もしない。「しようとしない」のではなく、ただ「しない」。無心でいる。

・横から頭を叩きにくるのをストンと落ちてかわす。落ちる際に両足を前後に開いて相手の懐に入る。

・単推手で自陣に押しこまれた際、重心を後ろに引いて含胸抜背し、8は押された2の状態で安定を保つ。

・相手に歩み寄り、蹴りを誘う。相手が蹴るのを重心を後ろにしてかわし(足を退かない)そのまま歩き続けて突く。

・相手に歩み寄り、両肩で止められてもそのままどんどん歩く。

・合気上げのように両手首を取られたままどんどん歩く。

後半の「抵抗勢力を意に介さず歩き続ける」は、相撲の摺り足のような感じで、相手にもたれずに腰で進んでいく。押し合って「人」の形に均衡してしまったら進めない。どの稽古もそうだが、見た目イーブンの形を保つために目一杯の力を使ってしまっては先がない。見た目が8:2で押されていても、その状態で安定していればそこから(その形のまま)位相をずらす、つまり動くことができる。相手込みで一つの形を作っている、一つの運動をしている。それを「そうだと思おうとする」でなく「そういうものだ」と心底理解できた時に、強くなれるんだと思う。

太極拳は新規の方が2名いらした。基本功と、套路の起勢〜単鞭まで。

夜は師と瀬尾さんがこのところ足繁く通う東小金井の「鳥ふじ」に初めて行く。言葉を尽くして各料理を大絶賛するお二人を前に、私は「おいしい」という語彙しか持たなかった。4時間も飲み食いした。椅子愛の強い私が「何の変哲もないテーブルと椅子なのにくつろいで長くいられて、ここは本当に良いお店ですね」と言うとお二人が口を揃えて「座るものなんか木の切り株でいい」。そこから椅子のホスビタリティについて議論を深める。Sさんは足るということをもっと知れと師に言われる。ああでもないこうでもない言っていると、夜が更けるのはあっという間だ。