弟子のSです

武術の稽古日誌

『無敵のソクラテス』

胃潰瘍に奥歯のブリッジの修理が重なり、消化器がダブルで不調。パンがゆとか食べてる・・・・・。

表題は、今読んでいる本。ソクラテスが時空を超えてさまざまな人と議論するのだが、問うては答えさせ、問うては答えさせしながら矛盾を衝いて相手を無知の知に導こうとする哲人は、しばしば「この理屈屋!」と相手をキレさせてしまうのだった。うんうん、そりゃあ腹も立つだろうよ、と相手に同情しつつおもしろく読む。哲人はどこ吹く風でのらりくらり。真理を味方につけた人は強い。

著者の池田晶子さんは46歳で既に鬼籍に入られた哲学者である。すごい仕事をした人がいたものだ。私も、50代で尽きる寿命なら今が晩年なんだな。しかし100歳になっても生きてれば今を「若かりし頃」と振り返るんだろうから、つまり年齢というのはあまり考えても意味のないものなのだ。

人間は必ず間違いを犯す。だから人間の甲斐性とは、理(=間違いのないシステム)について考えに考え、それに少しでも近づく努力をすることにあると思う。武術や哲学といった「理」を扱うものはそれだから学ぶ価値がある。こうすれば、こう考えれば間違いなさそうだ、というのが自分の中で明らかになっていくのは、始まりが「弱者」「愚か者」であるだけに単純にわくわくするものだ。バカから始まり無敵に終わる。歳がいくつでも、パンがゆしか噛めなくても私はそこに向かって進むことができる。