弟子のSです

武術の稽古日誌

お約束の内容を確認します

師に「痴愚」と言われてしまったのである。辞書を引くまでもなく、言葉の響きが既にもう、なんか悲しい。詳細は省くが私が考えたり感じたりしたことをいちいち師に黙っておれない性分で、かてて加えて俗物ゆえの苦悩や迷いが稽古の途上に尽きないからである。

師弟とは何かと言ったら、親子だという。親は子を監督養育する義務と権利とがあり、ひたすら子の誤ちを正し、自立を促す。それが子の成人つまり卒業まで続く。

親子の契約関係を結ぶというのは一大事であって、なぜと言うに、親であること・子であることは、他の関係と違って嫌だからという理由でやめることができないからだ。師が私にしばしば「あなたが恋人や配偶者だったらとっくに別れている」と苦々しい顔で仰るのもそのためであろう。

実の親子ではない師弟は血のかわりに契約でつながっている。師はそれをもっと重い「盟約」という言葉で表現されていた。師の知るその重さをたぶん私はまだ本当に理解していないが、子が最低限守るべき約束、それが身に沁みるところまでは今日たどり着いた。

私見や私情で親子(公)のルールを破らない。

私見や私情で親子関係を反故にしようとしない。