弟子のSです

武術の稽古日誌

君。全然ダメだ。

いいぞいいぞと思っている時に師から冷水をぶっかけられる・・・・。

BLUE GIANT』という青春ジャズ漫画にピアニストの雪祈くんという、才能と上昇意識に溢れ、それゆえにやや傲慢なキャラが出てくるのですが、自信満々な彼が日本一のジャズクラブのスタッフに演奏を聴かせて鼻っ柱をへし折られるシーンがあります。

「君。全然ダメだ。小手先の技術の連続。鼻につくピアノ。面白くない。何一つ面白くない演奏。君のピアノは、つまらない。〜(略)〜 君は、おくびょうか? ビビり屋? ナメてる? 調子に乗って、それでいいと思ってるのか? 全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ。内臓をひっくり返すくらい自分をさらけ出すのがソロだろ。君はソロができないのか? そもそも君は音楽をバカにしてる以前に、人をバカにしているな。〜(略)〜 音楽をナメた君の態度、ニヤついた君の顔、正直二度と見たくないな」

延々5ページに渡って批判され、固まって開いた口が塞がらない雪祈だったが、(あそこまで普通言うか・・?)と呻吟したのち、次のように呟くのだった。

「あの人、いい人だな・・」!

批判に対する反応のよさ。正しさ。天才の天才たる所以がここにあると思わせる。

Sさんの参考になりますよと師に言われて、雪祈が私の参考になるかいと思って読んだけど、ドラマーの玉田くんの劣等感、彼の傲慢、ともに私の中にあるんだなと思った。自分も師に「なめんな」とよく言われるが、人が言われるのを聞いてその意味がよくわかった。台詞を追いながら自分が追い詰められるようだった。