弟子のSです

武術の稽古日誌

昨日のメモ

昨日は新宿コズミックセンターなるスペイシーな名称の施設で初めて稽古した。採光が穏やかでなかなか良いところ。使用料もスポセンより100円安い。

高田馬場駅から都バスに乗って行く。戸山や早稲田の位置関係が少しわかってきた。もしかすると老後に20年くらい一人暮らしするかもしれないから(前回の記事参照)、歳をとっても楽しめるように都内の地理に明るくなっておきたい。

道場では道着を着た白髪痩身のおばあさんが団体に交じって柔道の稽古をしていたので準備運動しながら観察する。私もよく人に言われることだが「折れそう」だ。稽古相手が気を遣っているのがわかる。いくつになってもためらいなく投げてもらえるように、柔軟でしなる体作りをしておかなければと思った。枝でなく、柳や竹を連想させる細さであること。そこをクリアすれば、老婦人の存在は場を和らげるし、温かみを添えるよいものだ。

稽古では先日からのつづきで、羽ばたき運動の用法。上下の羽ばたきは白桃会の基礎鍛錬の一つだが、鳥の物真似みたいな動作が恥ずかしくて実はずっと敬遠していた。しかし昨今の稽古で開眼し、このところやたらと自主練しているのだ。正しくできるとぜんぜん不恰好でない(不恰好なのかもしれないが自信が羞恥心を凌駕する)し、鳥が全身を使って揚力を得る仕組みがよくわかる。肩甲骨を回して温まるから、肩こりにも効く!

稽古は正直だと思うのは、いつも直されるのに今日はまったく直されなかったこと。よしよし。

そして羽ばたきの上達に伴い全体の動きもすこしカドが取れたのか、今日はめずらしく師からポジティブな評価を得た。そして稽古の終わり近く、ビデオ撮影をするというのでスマホを構えていると、私が被写体になることを求められた。いつもなら尻込みするところを、お声かけのタイミングの妙というのか、今日はなんとなく頷いて従うことができ、それも私には達成の一つだった。自意識や羞恥心が邪魔をして撮影に応じられない、それが私の課題であることを知っている瀬尾さんが「よかったですね」と言ってくれた。

しかし撮影で魂を吸い取られたのか終わってみるとたいへんに疲れていて、稽古後に寄ったフレッシュネスバーガーのホットジンジャーエールが極上の甘露であった。レモンスライスが豪儀に7、8枚も入っていて捨てるにしのびず、電車で持ち帰って家で食べる。