弟子のSです

武術の稽古日誌

稽古メモと近況

武術の稽古を始めたすぐから「どうやって両手の防御を突破して懐に入るか」「相手の '門' を突破するか」という疑問をずっと、それこそ数年越しで抱いていたけれど、先日の稽古でハラリと腑に落ちたのは、「門」などというものは無い、ということだった。それは特別な稽古を通してではなく、おなじみの単推手、その用法の稽古から学んだ。相手の力の方向に流して、そのとき自分が「守りであり同時に攻めである」かたちになっているならば、流れに沿っているかぎり自然に相手の懐に入れる。蹴りでも同じ。手でも足でも、相手のものは相手に還っていくから、相手と同調していれば「まるで彼のものであるように」私は相手の懐に入れる。「突破」しようとするから入れなかったのだ。

それですぐさま組手がよくなるというわけでは全然ないけど、設問の誤りに気づけたのは前進だということにしよう。

武術をやるってことは、今の私には、「武術とは何か」の答えをさがすことだ。「それは武術です」「それは武術ではありません」の声を頼りに、なんというか、宝物のありかに近づいていくような。で、普段やっている単推手の中に答えがあるように、ヒントは見えてないだけで既に目の前に在るのかもしれない。「あなたはまだ何もわかっていない」と師が太鼓判を押すのだから、きっとそうなのだろう。

最近はそれで、いろいろ考えまして、生活行動の優先順位を以下のように心がけています。

1. 学習:稽古、体作り、座学・・・

2. 家事:衣食住という生活の基本を丁寧にする。いわゆる作務。

3. 遊び:遊び下手だから。ほっとくと出不精だから。

(4. 仕事)

(5. 読書)

わりと最近まで2・3と4・5はごっそり逆で、家事と遊びは後回しという年月が長く続いたけれど、後半生はこの三本柱でいくつもり。仕事と読書の優先順位を低くしたのには深〜い理由がある。若者はみだりに真似しちゃいかんよ。