弟子のSです

武術の稽古日誌

システマ見聞録3(最終回)

ステマの講座3回目。今日が今期の最終日。印象に残ったものを特記。

・スティックワーク。縦一列に並んで、棒を持った一人(暴漢役)が対向し、ウワーという叫び声とともに突っ込んでくる。列はまっ直ぐなので先頭以外の人に暴漢は見えない。見えない状態から、叫び声と周りの人の動きで判断して逃げる。縦一列のほか、横一列の前面から・背面から襲われる、円陣で雑談中に襲われる、などのバリエーション。このワークの指導は北川先生でなく、システマトロント校から帰ったばかりの生徒が現地で学んだことをシェアする形で行われた。

私は、逃げ遅れはしないのだが、誤った方向に動いて棒に当たること数回。これは危険の認知を目視に頼っていて「気配」を察していないことの証左だろう。

・ナイフワーク。腹部に切っ先を受け、体を捻って受け止め、自然な動きで武器を奪う。北川先生は「当たったところから動きをもらう」と表現されていた。私は受ける時にお腹を凹ませる(羽ばたきの前屈位)けれど、上半身をまっすぐ保つよう数人の生徒にアドバイスされる。

・システマでは構えるということをしない。足を前に出すなどして構えると、動きや意図が読まれやすいからだ。

講座終了後、ジョニデ似の北川先生に打ち上げに誘っていただいたが、引っ込み思案を発動して直帰する。

この講座を通して、世の中には武術を楽しむ女性と中高年男性が思いのほか多いことを知った。『秘伝』がどうとか普通に雑談している。どの人もシステマの魅力にはまり、主体的に学んでいるように見える。北川先生はまた近くモスクワへ行かれるそうだ。本部で学んだ複数のインストラクターがそれぞれの場所に持ち帰り、その生徒の中からまたインストラクター見習いが育ち、さらに多くの人に技術とその考え方とを伝える・・。システマには、人口に膾炙するよいサイクルができていると感じた。

個人的には比較対照することで師の武術がどういうものかの理解に一歩近づけたと思う。そしてシステマ愛好者を好ましく眺めつつ、改めて、師の教える武術が私には武術なんだなと思った。

帰途、一緒だった女性に「素人じゃないと思ってました」と言われた。このコメントを師へのおみやげにしよう。