弟子のSです

武術の稽古日誌

切磋琢磨を以て相叶う

昔でいう武州に遊びに行ってきたが、ひたすらぐうたら・ぼんやりしていても、ふと見た額に兵法目録の伝授文句が掲げられていたりして、縁あるものは目が探し出すものだと思う。 soro.jpg これは師弟間で授受される免状の定型文らしく、坂本龍馬が貰い受けた「北辰一刀流長刀兵法目録」にほぼ同一の文があった。「(貴殿)一刀流の兵法の稽古に執心し、其の上勝利の働き之あるに依りて家流始めの書であるこの一巻を差進め候。なお師伝を疑わず、切磋琢磨を以て必勝の實、相叶うこと有るべく候。よって件の如し」。山奥の宿にこんな額がかけられているところをみると、武州はもともと剣術の盛んな土地柄なのかもしれない。 そして師のブログを見れば剣術の型稽古指南が載っているのだった。おぉシンクロニシティ。 私は短棒(小太刀)対長剣の型稽古がたいへんに苦手である。長剣対長剣も同様だが、対向した相手と武器を介してやりとりする、ということができない。これは長剣の心得のある方が師と型稽古をしていて、二人の間に切っ先を介した対話が成り立っているのを見て自分の圧倒的な未熟を悟った。師の解説にもあったが、これはロールプレイ、物語なのだ。 私はかねがね短棒術を面白いと思ってきたけれど、そこに物語的要素はまるでなかった。自分をかえりみるに『2001年宇宙の旅』で武器を手に入れて快哉を叫ぶ猿とあまり変わらない感じである。一人称と二人称の違い。私の武術的課題はもしかすると一事が万事、これに尽きるかもしれない・・・・・。