弟子のSです

武術の稽古日誌

考え事

言葉ではわからないもの

自分の課題は、先入観がまさって他者を等身大で見られないこと。上級者にならって技の知識を仕入れたとしても、私に人を見る目(感受性)がなければ意味がないと言われる。 師「あなたは言葉と記号にすぐ騙される。こうして私が話していても私の話す言葉の内…

たぶん主客同一の話だと思う

師「生徒はお客さんなので私人だが弟子は未来の同僚、研修生なのだから公人でしかありえない。公人が '私にとっての武術とは~' というような物の見方をすること自体、ありえない」そうか・・・・ 師の「同僚」清風会・高無宝良先生「いつの時代でも人間関係…

肯心ほしいな

人間は楽しむために生まれてきた。 だから何が起きてもどこ吹く風で日常を守る技術が要る。そう教わった。 師「今の自分は自分の本体ではない。人間の本体は未来にある。ゆえに現状の自分を信頼することは未来への可能性を潰す」 私「現状の自分が信頼できな…

死ぬまでドライブ

パーツを組み立てる等の能力以前に、武術する上で私には大きな、というか決定的な問題が別にあると言い、それは「雑」ということなのである。技の稽古では手順を追うあまり相手への注意が疎かになる。強い相手には胸を借りる安心感からやはり相手への注意が…

極め技二十四手

1 仰向けにして肩までロックした腕の手指を持って手の甲側に反らせる 2 ひじを固定し手首を手のひら側に丸め込んで極める 3 うつぶせにして肩口を押さえ腕を背側に反らせる 4 うつぶせにしてオモプラッタ(手でかける) 5 うつぶせにしてオモプラッタ(足で…

武術ゆく年くる年

毎年、月ごとに「今月はどのように苦悩したか」を縷々綴るようなかたちで一年のまとめとしてきたが、今年はちょっと様子がちがう。本人にはあまり自覚がないまま、先日師より「スタートラインに立った」お墨付きを頂戴したのである。先日撮った動画が師のブ…

真綿にくるまれて

「喧嘩は相手の胸倉を掴むところから始まる・・」とその方面に詳しそうな瀬尾さんいわく、喧嘩を経験せずに大人になる男はいません(断言)。それを聞いた師も普通に頷いている。瀬尾さんは停学とか処分の気遣いのない卒業式の日に相手をボコボコにする喧嘩…

打撃対策

話の途中で終わってしまっているのだけれど、先日の金曜稽古で瀬尾さんと対打撃の話をした。 子供の組手を見ていても、素朴なスタイルであるほど人は殴ったり蹴ったりしてくる。太極拳的には受け流しつつくっつきたい訳だが、正面から間合いを詰めにいけば「…

まず肯定

「人生右肩上がり志向」のなせるわざか、自分が悪くなっているのではないか・以前の方がよかったのではないかという不安には、人を停滞させるものがある。『ART&FEAR 制作につきまとう不安との付き合い方』(D・ベイルズ、T・オーランド)という本に次のよう…

「道」と「術」

新宿スポーツセンターは改築のため11月1日から来年3月31日まで休館です。これから冬なのに稽古場所はどうなるんだろう・・。月曜日は毎週のようにスポセンに通っていたが、そんなわけで今日は家にいて考え事などしている。雨が止んだらDVDを借りに行こう。 …

同じなことは違わないこと

「同事不違」わかるような、わからないような・・? 村上龍のこんな短文を読んだ。 ・・見ず知らずの人物からの、あるいは送り主が不明のプレゼントはあまりうれしくない。中身がわからない場合はなおさらだ。封を解くのがためらわれることもある。以前、ホ…

セーフティネットとしての套路

がんばろう、ってこのブログでもよく書くけど「がんばるぞ」と「もうダメついていけない」は表裏一体だ。今のままでは、この二つの情の間を私は右往左往するだけだろう。 師「師が弟子に要求する水準は、プロフェッショナルであることです。プロの覚悟がない…

「無理」について考える

前回の記事のつづき。 何事も意識の毒汁の中に浸さずにはいられぬ憐れな悟浄よ。(中島敦『悟浄出世』) 赤ん坊は可能性を限定しない。 人間である、という実際のありようは変わらないのに、大人は、私は、ある可能性について「無理」と感じる。確信的に感じ…

「ここから抜け出す道があるはずだ」

アルコール依存症の確立された治療法は断酒、すなわち生涯にわたり一滴もお酒を口にしないことである。 大概の人はここで「お酒に近づかない」というアプローチをとるであろう。酒屋の前を通らない、酒宴を欠席する・・等々。君子危うきに近寄らずというので…

中島敦『弟子』より

子路は、孔子のお弟子さん。 弟子の中で、子路ほど孔子に叱られる者はない。子路ほど遠慮なく師に反問する者もない。 「請う。古の道を釈(す)てて由(子路)の意を行なわん。可ならんか。」などと、叱られるに決まっていることを聞いてみたり、孔子に面と…

下半期にむけて思うこと

少し前の師のツイッターなのですが、こういう方の弟子なのだなあと改めて感じ入った次第 「ちょっと待って! あなたの健康は大丈夫? 10項目チェック 1・自分と同体格の野生生物を素手で仕留められる 2・自分以上の体格の肉食獣も気合と眼力で追い払える 3・…

無策でいない

武術が感情を律しようとするのは、感情に囚われるのが自分の自由を脅かすからだ。「私はなにものからも自由だ」という時、自分からも自由であることが当然含まれるが、つくづく思うに、自由を脅かす最大の敵は自分自身である。 自分がいつも自分を正しい方向…

汝の敵を愛せよ

(前回の記事から)「何を」なぜ全身全霊でやらないのかとたしなめられていたかというと、師の法(思想)を継ぐという弟子の務めのこと。自分の立場がわかっているかというのだ。先日の柔術のおじさんを例にとっても、どこどこの道場で稽古していますという…

ならぬ理解、するが理解

師から言われたこと 「受け取った技術や思想を身につける努力をしてないのに稽古をしたがる。 人の話を聞いてないのに質問する。 相手を理解してないのに自分を理解されたがる。 愛してないのに愛されたがる。 相手の思考の道筋を辿るのが理解であり愛なのに…

ソラくんが行く

師が伝えたいのは技術そのものでなく、技術に対する考え方。それを受け取って師から離れるのが正しい弟子のありようだという。俳聖芭蕉とその弟子曾良の道行きになぞらえ、先日師が図解してくださった、その図を公開しよう。 旅の道行きでソラくんが見るのは…

私はすでに死んでいる

師からお借りした『エアマスター』。女の私には鼻白む描写も少なくないが、ひとたびそのハードルを越えてしまうと、イキのいい登場人物たちがひたすら愛おしい。まだ8巻だから先が楽しみ。 それはいいんだが、私が若干納得いかないのは、彼らがいくら戦って…

身体からまっしぐら

When I do good, I feel good. When I do bad, I feel bad. That's my religion. 良い行いをすると気分が良い。悪い行いをすると気分が悪い。これが私の宗教である。 リンカーンのこの言葉が長い年月にわたり私の実感であった。武術を始めるまでは。武術はそ…

ひいこら生きる女性のために

このブログを読みに来てくださる方は日々約40人。そのうちの半分が女性として、今日は女性向けに書きます。 私の家の周辺にはお年寄りの独り住まいが多く、その全員が女性です。彼女たちの暮らしぶりや亡くなり方を観察しているととても勉強になります。耳が…

That's reality.

あなたはこれから一人ぼっちになって、誰からも相手にされなくなるんだ。 あなたは若い時は、自分で帯を締めて行きたいところへ行っていた。しかし年をとると両手を伸ばして他の人に帯を締められ、行きたくないところへ連れて行かれる。(ヨハネによる福音書…

師は絶対、かつ我以外皆師

先日師に、白桃会の武術の本質はなにかと訊かれたが答えられなかった。修証一等ですと言われた後でもまだピンと来ないが、考えるうち、私が弟子をやっているということ自体が一つの答えを暗示しているように思えてきた。一般的な常識や価値観をもって私とい…

懸崖撒手

前回の記事に師からいただいたコメントにある「懸崖に手を放す」は禅の言葉で、文字どおり指一本でぶら下がっている崖っぷちの、その手を放すことですが、私の解釈では「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の後ろ半分がないものです。身を捨てる、それだけ。し…

草書な日々

師がツイッターで最近どんどん稽古が抽象化してきていると書いておられたが、教わる側の感じでは「最近」どころでなく、そうなってもう大分たつ気がする。ずっと師についていると違和感がないけど、OBが久しぶりに教室に出たりすると「変わった」という印象…

♪おさ〜るさ〜んだよ〜

武術を志してからこのかた、人扱いが雑だ良心がない真人間になれと驚くべき指摘を受け続け、この頃では師匠より「愛」を学んでいます。 >愛、ヒューマニズムといった部分の理解がないと礼は虚礼になります 愛とはつまり「早乙女愛よ、岩清水弘はきみのため…

武術ゆく年くる年

2014年。振り返ると、どこを切っても金太郎飴のように苦悩していて我ながらあきれた。 1月〜3月 思索に走りがちな態度を戒められ、研究的な態度で臨めと言われ続ける。 「どう思うか」「どうしたいか」、ではなく、「どう思いを伝えるか」「したいことをどう…

がけっぷち

師「なぜ毎度毎度同じパターンでやられてもノーガードで泣きながら打たれ続けているだけなの?よけるか反撃するかしたらどうなの?」 私「よけるか反撃するかします。つらさの元を断ちます」 師「あなたのつらさの元は何ですか? 敵は何ですか?」 私は、ま…