弟子のSです

武術の稽古日誌

稽古メモ

前回教わった、肩をいからせずに胸郭を開く動きは姿勢を良くするのに役立つというか、姿勢を良くしていると稽古になるというか。来月からパートで接客の仕事に就くのでいいこと聞いた。

春は別れの季節。子供空手で私よりも動きに風格があると言われた6年生のKくんの、今日は最後の稽古である。下級生みんなと組手して、そのあと師のはからいで私もさせてもらった。つねづね彼には一目置いていたから、もしや負けるかもしれないと眼鏡を外して(←気迫のサイン)臨む。あとから考えれば、誰が相手でもそんな気持で組手に臨むのは間違っている。恬淡とした彼を倒し、見ていた子に「大人げない」と言われた。「わざと負ける方がKくんに失礼だもん」と答えたけれど、そもそも組手において勝負は二の次なのだった。最後に相手をした師は彼にごく自然な流れで一本取らせていた。私は組手が対話の稽古だという視点がすぐどこかへ行ってしまうし、先入観がまさって相手を等身大で見られないんだなと気づく。今日にかぎらずKくんにはいろいろ勉強させてもらった。なくすのが惜しい人である。

「中学校の部活で空手やるの?」と彼に訊くと、当たり前のように「やりません」。そうか・・・・。自分の持ち味に気づかずにやめちゃうのか・・。彼の落ち着いた戦いぶりを私は覚えていて、自分に活かしていくことにしましょう。