弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

護身術+太極拳

テーマは「動かす」。その要諦は、タオに逆らわないこと。ぶつからず自然に動く方向に相手を誘導すること。

たとえば、こぶしを握り締めて前に伸ばした腕には内側に巻き込むタオがあるので、その方向に従ってどんどん巻き込んでやれば「小手返し」になる。また、パーにして伸ばした腕には外側に広がるタオがある(=張る力が強い。だから単推手ではお互いが手を広げて向かい合うのだ)ので、腕の外側に向かって技をかけてやる。これらは相手の経路のタオに沿う、ということ。

そのほか細かいところでは

・体の傾きを観察して、つまり相手のタオが弱まっているところを探して崩す。

・相手が働きかけてくる力の方向に流す。これは相手と自分との関係性のタオに沿うこと。

・重心をずらす、関心をそらすなど、相手のタオを乱して弱めてやることで動かす。

太極拳ではタオを意識するのに、腕に小人を乗せて落とさずスムーズに歩かせるというイメトレをする。腕が柔らかな弧を描き、左右で恊働して自然と太極拳の動きになる。楼膝拗歩で確認。

月曜日の稽古から、丹田が動きの中心、体の「おもり」のありか、という感覚が高まっている。タントウでも楽にできているときは上半身が丹田の上に乗って休んでいる感じがする。

今日、雲手のときに師が「下の手が丹田を通過する時に重みを受け取るような感じで」と仰っていたが、その重量感は時々すごくリアルなものだ。

丹田が中心、という感じを具体的に得たのは腕バランス(下図)が最初だが、これはつまり、丹田を中心にした、頭と足をおもりとするやじろべえなのである。接地面を手が担っている。

touritu2.jpg上級者はこのまま足を伸ばせるという

さて、稽古のことを記録に残してそれでおしまいにせず、そこから発展して考えることが研究者の態度だという。たとえば、腕バランスと丹田との関連に気づいたなら「このバランスが他のどの動作に応用できるか?」と考えられなければならない。そうでないと、ただ腕バランスができました。やったー、で止まってしまうから。

課題に応えるのは犬でもできるので、課題をつくる側に、出題者になることが求められているんだけど、それは今の私からは「だいぶ先の方にある階梯」だということが先日師と話すなかで判明したので、暫定的に、与えられた課題を一つ一つこなす。