弟子のSです

武術の稽古日誌

2018-01-01から1年間の記事一覧

武術ゆく年くる年

今年もあれやこれやと課題を残しつつ暮れていこうとしているが、年内最後の稽古で面白いことを教わったので図説する。それは突きへの対応に関することだ。 ①まず、突きを手の甲で受ける。これは普通に痛いし、相手の力によっては手を破壊されてしまうかもし…

快食、快食、快食

私は実用書などにイラストやカットを描いているのだが、長く描かせていただいているジャンルの一つに「訪問歯科診療」というのがある。高齢や障害等で通院が困難な人のための、歯科の往診サービスのことである。 先日、クライアントの会社に招かれて初めて学…

遊行

師から紹介された映画「ミスト」観る。陰惨なまでに救いの無い話であるにもかかわらず、どういう種類の心の動かされ方をしたのか、見終わって目から水が一杯出た。人間性の深淵に迫るすごい作品だ。映画はハッピーエンドでなきゃと長く決めてたけど、こうい…

「武」ってなんだろう

諸説あるようだが、「武」という漢字は「戈(ほこ)+止(足)」で、戈を持って進む人を表しているという。戈というのは画像検索すると長い柄のついた刃物であり、それを持つ人が何をしようとしているかと言えば、ビジュアル的に十中八九、戦おうとしている…

近況

このところ同居の実母の日常生活にやや介助が必要になり、介護保険を申請したり居室を整えたり、しかるべき知識を仕入れたりしかるべき人に相談したりとせわしくしている。人を相手のことなので精一杯楽しくやっていきたいし、それができなきゃ今までの稽古…

稽古メモ

最近「シンギュラリティ(技術的特異点)」という言葉を耳にする。人間のAIに対する優位性が逆転する時点のことをいうのだそうだ。 たとえばAlphaGoはディープ・ラーニングという学習能力を獲得し人間の棋力をあっさり抜き去ってしまった。「手筋」より「学…

なぜ導師ウーグウェイはタイ・ランを後継者にしなかったか

自分は師から武術を学ぶ弟子である。そう思い定めて私が勝手に精進するのはいいとして、長年うっすら疑問に思ってきたのは、師のほうではなぜ私を弟子と呼び、弟子として教えるのかということだ。(私よりも周囲の方のほうが不思議に思われているかもしれな…

稽古メモ

キリスト教の世界観を十字架が象徴するなら、太極の世界観を象徴するのはおなじみの である。白黒の要素を「両儀」と呼ぶそうだ。すなわち「陰陽」で、天と地・男と女・太陽と月・昼と夜・動と静・明と暗・・など相反する性質のものを指す。この二つの要素が…

柔道の形について

課題「動画を見て、形がなぜその順番で構成されているかを考える。わからなかったら、何がわからないかをはっきりさせる。」 五の形: https://m.youtube.com/watch?v=RlUNXapQSM4&sns=tw柔の形: https://www.youtube.com/embed/WQbIE6nDD0I古式の形: http…

死と踊れ

組手メーター: 3|46|300 この長距離走のような稽古について、師に「私を戦闘不能にしようとして取り組んでますか?」と尋ねられた。私は「1本取られるまでの時間を少しでも長引かせようとしてやってます」と答えた。師を戦闘不能にしようなんて滅…

年度替わり

・この3月で、子供空手の二人の生徒が小学校を卒業する。教室からも卒業する一人は、小2から5年間、本当に真面目にがんばって稽古を続けてきた色帯さん。そしてもう一人は中学生になってもやめずに通ってくるという。私が子供空手の稽古に参加しだして4〜…

観察する稽古さらにつづき

関連記事:観察する稽古 観察する稽古つづき 水曜稽古で句会の下見に行った。次回の集合場所はJR日暮里駅近くの天王寺というお寺である。そこにおわします、菩薩像をスケッチ。 「弥勒半跏思惟像」まずは好きなだけ凝視し、描けると判断したところで実物を見…

稽古メモ

組手メーター: 2|41|300最近心に残ったこと。子供組手の時間、師が皆を座らせて次のような話をしていた。「周りが目に入らなかったり、集中していないと、どんなに力や技があっても危機に気付かない。それは死にやすいってことだよ」。そして生徒に…

稽古メモ

昨日の稽古に師の知人と、その後輩の方が2人いらした。合気道・空手・柔道のそれぞれ上級者で、迎える側としても興味深い面々であった。稽古を通して各々の動きや立居振る舞いの違いを知ることができたが、その「キャラ」がもともとの人柄なのか、修めてい…

稽古メモ

2|15|300 300本中15本の組手を終え、うち、Sのポイントは2本。 何を「1本」とカウントするかについて、先日説明を受けた。 1. 文句なしのクリティカルヒット(致命的な一撃) 武術において組手は「競技の練習試合」ではなく「殺法の模擬戦」なのだ…

S-METER

「今年は組手を300本やります」と年初めの稽古で言われ、以来、例によって訳のわからぬまま、コツコツと(?)お会いするたびに3本ずつ師と組手している。 2|12|300 数字の見方は、300本中12本の組手を終え、そのうちの2本をSが取った、ということ。…

稽古メモ

過去記事で、組手で攻撃をくらうほどに「情けない」という感情が押し寄せてくる、と書き、その理由について考察したが、最近では単に「蹴られるとなぜか悲しみ物質が出る私の脳」とだけ捉え、そうした一過性の情緒の反応は脇に置いておくことにした。重要な…

観察する稽古つづき

ツイッターでご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、水曜日、稽古場所である巣鴨のキャラクター「すがもん」を師とともに凝視、道場で再現してみました。 すがもん by 師 by S 私の再現力にいささか驚かれた様子の師は、私の消しゴムを指し「もう一度…

観察する稽古

1月も早や半分過ぎてしまいましたが、今年もよろしくお願いします。 前回の記事の最後に、自分は物事を「印象」で捉える傾向があると書いた。私はコミカルなイラストを描いてお金を頂いているが、思えば職業選択の妙というか、日々やっているのは印象やイメ…