弟子のSです

武術の稽古日誌

昨日のお稽古

スポセン+洗足池で武術。のべ4時間くらい。師はこの密度で普段道場におられるのか・・

座位での合気上げを 1. 自分という視点から 2. 相手との関係という視点から 3. 場を俯瞰するという視点から、それぞれ考える。具体的には、1は親指を張って相手の腕と一直線にして、といった自分の中で完結する技術的なもの。2は相手との接触点から無風になる瞬間を読み取る、といった相手との関係性において考えるもの。3は二人でつくるフォルム、状況や形勢が現在どんなで、自分の望むものにするにはどこを変更したらいいかを考えるもの。

実際には1〜3を瞬時に織りまぜつつ進めていく。

フォルムで考えると、たとえば「さば折り」にしても、正面から相手の後方に両手を差し入れて作るあの海老反りフォルムを、「腰を引き寄せながら肩口〜首元へ手刀」で再現できること、また相手の背側から「腰を圧迫しながら肩を手前に引き落とす」で再現できることがわかる。

それから呼吸法。太極拳では押す動作は通常息を吐きながら行うが、今日稽古したのは「吐くかたちで吸う」。具体的には吐きながら押し、押しながら息継ぎする。このとき継続する質の違う「押し」が有効なのである。沸騰するヤカンの蓋がカタカタ上下する感じと言われたが・・。瀬尾さんは要領を飲み込んで、うまくできていた。私は終わりごろ数回成功した。

それからコウ(体当たり)の稽古、そして「交差術」。

対向する相手に歩み寄り、一定の間合いで突いてくる拳をいなすと同時に踏み込んで相手を手刀で崩す。また、相手とすれ違いざま肩口から首元への手刀で崩す。

・・というようなことを場所を移動して繰り返し、非常に長い一日を過ごした。以下覚え書き。

・休憩中に瀬尾さんからダッチワイフのプロレスラー「ヨシヒコ」について教わり、人間のイマジネーションの豊潤さというんだか何だか、もう、プロレスって凄いんだなぁと感じ入る。

・数年ぶりの洗足池でいい稽古ができた。それはいい稽古を一緒に創れるいい稽古相手に恵まれたということ。小5のKくん。それなしではやっていけないという差し迫った事情から武術をやっているところがSさんの参考になるのではと師に言われたが、稽古を通じて知った彼の気質は闘志があるのにやさしくて、謙虚なのに卑屈でない。英語でいうところのgood soul(いいやつ、魂)だと感じた。組手中、柱に顔から自爆して唇を切ってしまった私を何度も気遣ってくれたKくん。

・大人クラスでは二人と初対面の挨拶。口から流血しながら「はじめまして」言う。瀬尾さんが「女はケガするとテンション下がるから」と憎々しげに言うのが脳裏をよぎり、私も危ないところだったけど稽古が始まったら大丈夫だった。稽古中は痛くて笑う変なテンションになりがちだが、武術は「からだであそぼ」。楽しいものなのだ。このままずーっと遊んでいられたらと思う。