弟子のSです

武術の稽古日誌

常在戦場

離婚係争中で実家に身を寄せていた幼なじみがアパートを借り、生活保護の申請をして自立を目指すことになったので、女一人暮らし漫画の金字塔『るきさん』を手土産に遊びに行く。生活保護の審査官がチェックに来るとかで部屋には家具もテレビも電子レンジもない。師の部屋を知っているからそういうものがないことには驚かないが、パソコンもないのはちょっと、窓のない部屋に暮らすようなものなんじゃないかという感じがした。

生活保護費というのは必要経費(家賃+生活費)から収入を引いた差額分が支給される。長く心を病む彼女の収入源は障害者年金だ。生活保護費にせよ障害者年金にせよ、働くとあるいは病気が治ると減額や支給停止になるので、制度の主旨からすれば当然でも、なんというか、生活向上のモチベーションが保ちにくいシステムだと思う。がんばって自立した先には生活苦のストレスが待っている。さもなければネットにも繋げない生活・・。メンタルの丈夫な人でも参ってしまいそうだ。

彼女の病状は結構深刻で、「無理しないようにね」と言って別れたけど、見送る姿が「無理しないことが私には無理なの」と言っているようだった。無理なく暮らす手立てがないものか。彼女ばかりでなく私の、この世知辛い閉塞した日本に暮らし、老いていく一人一人の問題として。