弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

ここしばらく入院生活を送っておられるらしい31歳の書家、石井誠さん。彼の最新のツイート「楽に生きれたら人生つまんないね。」ぐぉお・・・

護身術+太極拳

目の前の相手が打撃を仕掛けてくる。

このときの対処として、例えばジークンドーなら仕掛けてくる前に遮ってしまう(intercept)のだそうだ。一方、自分からは何も仕掛けずに相手の隙につけ入るのが太極拳。口喧嘩で言うならば(これとってもわかりやすいというか、身に覚えのある例えだった)うんうんと聞きながら、相手の議論の甘い点や失言を見つけてすかさず足をすくうという寸法。こう書くと何だかすごーく嫌な感じだ(実際すごーく嫌なものです)が、羽生善治が将棋は「他力本願」で「いかに自分は何にもしないで相手に手を渡すか」だという、それに近い戦い方と思われる。

とにかくそういう訳で、目の前の相手が打撃を仕掛けてきたら太極拳ではそれを「受ける」。

受け方に二種。

・磁石のS極とN極のように相手の手を自分の手に引き付ける(引っかける・くっつける)動き

・磁石の同極どうしのように相手の手と自分の手を引き離す(反発させる・距離をおく)動き

この二種の動きのコンビネーションで打撃を受け、そこから崩し・投げに発展させる。太極拳套路の型(単鞭・白鶴亮翅・如封似閉?)をなぞりながら稽古した。

相手にあてた片手は反発させ片手は吸着させるという稽古のあと、一本の手の動きに反発・吸着二つの要素を同時に持たせる稽古。例えば合気上げなどは、親指を相手から引き離しながら小指は相手にくっつけていくという動きだ。対照的なベクトルの動きを相手の反発を招かないようにぬるぬると加えていくことが要求される。

そうした動きがうまくできないと、かかるまいと力んでいる人にこちらの意を通すことは到底かなわない。太極拳套路は上に書いたような対照的な(しかし円動作ゆえに連関する)ベクトルの動きが多いから、その必要動作が本当の本当に身につくまで反復しないといけない。

そうやってある動作が無意識に行われるようになるのを専門用語で「自動化」というんだって。リハビリで理学療法士さんが教えてくれた。自動化するまでやるんだ。

太極拳の時間には加えて推手(ループトレーニング)をした。

師は今日は風邪でのどをやられたらしく声が出ない。身近な人が病むと本人以上にオロオロしてしまう私(←表には出しません)だが師の場合は「肉食って酒飲めば治ります」と相変わらずの調子なのでまあ良かった。