弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

武術90分。といっても前後の時間を合わせて2時間半くらい道場にいた。

前半は套路と、瀬尾さんに相手をしてもらって単推手。師が来られてからは単推手/双推手のかたちに手を合わせ、前後に振り子のように揺れる/吸う息に合わせて相手を誘導する/玉女穿梭/左楼膝拗歩/突きを引き込んで反撃(正面突き・ワンツー)/蹴りを引き込んで反撃・・。どれも呼吸と振り子運動を合わせて、吸気と同時に相手を引き込んで行う。

最後に転身擺蓮(足の側面での蹴り)を稽古した。格好がつかない型の一つ。

単推手は、体軸の回転と掤(ポン)にした腕とにより、本来ならば向かい合う相手との間に水平方向の円運動が延々と続くもの。相手から異質の力が加わり円の軌道が乱されたとき、その力のタオを利用して初めて相手への攻撃となる。つまり調和を乱した側が自滅するはずのものであり、何も起きなければ何も起きない。自分はただタオに逆らわない円運動を続ける。もっと言うと、円運動をキープするべく吸気とともに相手を引き込み、誘導する。相手に対して勝とうとか押そうとか、そういった積極的な意図は一切持ってはならぬー!!

瀬尾さんからラリアートという技名を教わった。私と初めて稽古した2年前のこと、何かの手順を誤解した私が瀬尾さんに意図せずそれをかましまくって非常に痛い思いをしたという。恐縮したがひとつ利口になった。瀬尾さんは話題豊富で話し上手。一緒にいると師も楽しそうだ。

好きでしていることとはいえ、弟子として稽古を続けるなかで、何やかやと感情がネガティブな方向へ揺らぐ機会は多くあり、それがあまりに強くて確固としていると、意志と混同して判断を間違えてしまいそう。だから、めげずに続けるためには感情を殺すことだ。死んだものはもう死なない=死ににくい=強い、という論法。

感情を殺すのだと言うと師が「へー、大変だね」とシニカルな口調で仰った。