弟子のSです

武術の稽古日誌

性差について

武術を求める心に男も女もない、なぜならば、私たちは男と女である前に人間であるからだ、とか言ってみたりする私ですが、本質的な部分はそうであるとして、人間はいやおうなしに属性の強い影響下にあることは間違いなく、そういう意味で修行上の性差はある、どうしようもなくある、と最近は感じることが多いです。(私が感じる感じないより先に、教える側の方々は実感としてそのことにとっくに気づいておられるようですが。)私が思う性差のひとつは以下のようなものです。

男は女がいないと生きられない。言い方を換えると、女がいても自分らしく生きられる。

女は男がいなくても生きられる。むしろ、男がいると自分らしく生きられないというか、生きる上で男が妨げになる場合すらある。

よく知られた調査結果に、高齢者の死亡につながる一番のハイリスク因子は男性が「配偶者がいない」であるのに対し、女性は「配偶者がいる」である、というのがあります。脳の仕組みとか社会的役割が影響しているのかもしれませんが、とにかく「女は男がいると命にかかわるほどペースが狂う」のです。一般的にですよ。

それを修行に落とし込みますと、例えば男性は女性と交際しながらでも並行して稽古に身が入れられるけど、女性は好きな人ができると「それはそれ、これはこれ」と割り切ることをせず、交際と修行とを同列にとらえて二者択一になるんじゃないかという気がするのです。太古の昔に少女漫画家をしていた頃、同期の漫画家さんを編集さんが「○○はもうダメだ。男ができた」と噂して嘆いていたことからもそれは伺い知ることができます。よくも悪くも、女は一度に二つのことができない。少なくとも私はそうです。

男より女の方が寿命が長いという生物学的な事情も絡み、本来、女は一人で生きられるように作られているのだと思います。つまり、女は男より自立できるポテンシャルが高いということだと、私は我田引水的にそう思っています。おわり