弟子のSです

武術の稽古日誌

ビバ、ぷよ碁

師匠に教わった無料ブラウザゲーム「ぷよ碁」で遊ぶのが習慣になった。本来の19路盤とちがって5路盤と7路盤しかないので、鍋でお湯を沸かしている間に一局打てるのがいい。

ぷよ碁のすばらしい特徴、それは

碁石に表情がある!
盤面で戦いが起きると、優勢なほうの石が強気の顔になり、ピンチになった石は青ざめる。

石のつながりがビジュアルでわかる!
隣り合わせてつながった石はカタマリとして示される。隣り合わせていない状態では、伸びるチーズみたいな感じで石同士のつながりが示され、つながりの強弱により太さが変わる。

本当に自慢ではないのだが、私には、市井の囲碁教室に3年通ってついに石の強弱と石のつながりを理解しなかったという過去があるのだ。人々が「この石が危ない」「つながった」「ああ切られた」などと知的に笑い合うなか、私にはそれらの感覚がどうしてもわからなかった。
組手や推手もそうだが、優勢・劣勢の感覚なしに打つ手は「あてずっぽう」にならざるを得ない。勝負事の前提ともいえる「強弱や生き死にの感覚」がわからない以上、いくらやっても上達する気がせず、コロナ禍をしおに通うのをやめてしまった。3年やって得たのは、いくつかの「囲碁格言」と、「私ってバカだったんだ」という負の確信だけであった。

ところがぷよ碁を始めてみると、どうだろう、表情豊かな石のおかげで、形勢の優劣の感じが少しずつわかってきた。続けるうちに「表情の予測」ができるようにもなった。こう打つとここがつながるな、ここを補強しとかないと危ないな、というのはつまり「感覚が身についた」ということで、そうなると、脳の中で埃をかぶっていた「囲碁格言」も活きてくる。今では5路盤・7路盤とも対AI戦でほぼ負けなしになった。(AIが強すぎないのも、ユーザーフレンドリーというか、ぷよ碁の良さだと思う。)勝つことももちろん楽しいけど、「つながるってこういう事だったのね…」と、諦めていたことが理解できたのが何よりうれしい。ありがとうございます、ぷよ碁と先生。

「人間には無限の可能性がなくもない」というのは師匠の言葉だが、こういう経験をすると、現時点で苦手意識や不可能感のあることも、やりようでは上達・達成し得るのだと思えるようになる。やりよう、とは「工夫」のことで、「頑張り」ではない。ぷよ碁で私はまったく頑張っていない。ただ遊んでいるだけだ。開発チームの人は、本当に偉いと思う。