弟子のSです

武術の稽古日誌

今日のお稽古

護身術+太極拳

先日見学した武術サークルの練功に集う人々が、2時間のうちの1時間半ほどを基礎鍛錬にあてていたのを見習い、早めに体育館に行ってストレッチ、タントウ、套路、歩法などやる。誰か一緒にやる人がいたらなあ、と思うのはやはり正直なところ。しかし感情と、道とは分けて考えなければならない。感情は時としてとても不適切な、結果的に不自然な方向に自分を流してしまうから。

護身術では受け身、転び方、手刀による崩し。

二つの足裏という小さな接地面だけで大きな胴体を支えるという、精緻なバランス感覚によって人は立っている(なので転んだ状態の方が本来安定している)という話に心打たれる。

介護・福祉関係の仕事をしている稽古仲間二人から、暴れる相手にどう対処するかという質問があっていろいろ考えた。身を守る方策として例示されたところでは、

・相手のペースに同調しない

・敵視されない

・相手を威圧する

・抱きしめる。これは懐柔ともいえるし、愛ともいえるし、ごく物理的には、近寄せて相手の腕を封じるともいえる。

・同化する、等。

相手の心的状態その他によって対処は変わってくる。たとえば相手が人間じゃなくて、熊だったら? ブラフをかまして熊を制することも可能らしい(←試したくない・・)し、あるいはムツゴロウさんのように完全に同化してじゃれ合いながらなだめる、という手もある。

いずれにせよ重要なのは、つられて力に力で対峙しないこと、何をするにしても相手にペースを渡さないこと、場の主導権を握っていることだと思った。

太極拳では起勢と、靠〜白鶴亮翅を練習。太極拳でいう虚実を分けるとは、具体的には片麻痺状態で動くことと教わり、なるほどっ!とひざを打つ。実の側が虚の側(麻痺した側)をリードする。

套路はこれから、内観しながらするのとは別に、外側(相手)を意識するやり方でももっとやろうと思った。力を相手との接点に集中できるようにするのだ。例えば、白鶴亮翅で両手を広げ終えた時にそれぞれの手の先に充分力が伝わっていること、単鞭下勢で左手に重さが乗っていること。

地元のサークルに安直に参加しようとしたのは愚かなことだったが、人が功夫を積む様子を実際に見られたのは参考になった。師の求める武術は私には本当に難しいんだけど・・もう一度書く、

どんなに難しいとわかっていても、簡単だ、簡単だ、と自分に言い聞かせ続けるんだ。